個人所得税・贈与税・消費税の確定申告の真っ只中で、お陰様で忙しくさせて頂いてます!!
この時期に多い相談の一つに確定申告書と一緒に提出を求められる『財産及び債務の明細書』があります。
同明細書は、年間所得が2千万円を超えるとその年の12月31日現在所有している財産や債務について、その種類や金額を記入し、確定申告書に添付して提出する必要があります。
土地建物や現金、預貯金、有価証券はもちろん、1点(1組)10万円以上の書画・骨董・美術工芸品、貴金属類、自動車、家具といった動産、借入金や支払手形に至るまで細かく記入しなければなりません。
税務署にとっては、税務調査をしなくても高所得の方からの自己申告によって財産情報を得ることを法律で定め、将来の譲渡所得課税や贈与税・相続税課税などの参考にするためのものと言えます。
同明細書は所得税法232条に規定されたれっきとした法定文書ですが、実は提出をしなくてもペナルティは定められていません。 ペナルティがないとは言いつつも、もちろん法定文書ですから提出しないと、税務署から電話が来たり、督促ハガキが来たり、調査対象にまでなるケースもありますので、対象者となった場合にはきちんと提出しましょう。
同じように高所得者や資産家の方に提出が求められる書類に、平成24年度税制改正で導入が決まり、平成25年度から提出が義務付られた『国外財産調書』というものがあります。
毎年、年末に国外財産が5千万円超の資産家の方(日本居住者)が提出しなくてはなりません。
具体的には、国外財産の種類・価額等を記載し、確定申告書の提出の有無に関わらず翌年3月15日までに所轄税務署長に提出しなければなりません。
ペナルティの無い財産債務明細とは違い、同調書は、不提出や期限後提出した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が平成26年度分提出より適用されるため注意が必要です。
さらに所得税・相続税の申告漏れが後日税務調査等により発覚した場合、同調書に記載がある部分については、過小申告加算税・無申告加算税を5%軽減するアメを用意する一方で、同調書の無提出・記載不備に係る部分については逆に過小申告加算税・無申告加算税を5%加重するというムチまで設けています。
この制度の背景には、日本から国外へ資産の流出が増えているものの、国外資産からの所得課税や国外財産の相続税の申告漏れが多発していると実情があります。
ちなみに円換算は12月末日の為替レートで換算するため、昨今の円安により基準を超え対象となる方が増加しておりますので、国外財産をお持ちの方はご注意下さい。
(平成25年4月1日以後の相続・贈与については、海外移住者への国外財産への課税もはじまってますので、こちらもご注意ください。)
今後も資産家・高所得者への課税は厳しくなるばかりだと言えますので、皆さまも早めに相続税の試算をし、財産管理や運用をして大切な財産をご家族に残せるようにして頂きたいと存じます。
何かお困りの際には、ぜひご相談ください!!
2015年02月21日
財産及び債務の明細書と国外財産調書
posted by すぎうら税理士事務所 at 18:18| Comment(0)
| 税理士業務備忘録
この記事へのコメント
コメントを書く