2015年12月29日

相続後の各種税務関係の届け出について

年の瀬になり、相続税申告や所得税申告の飛び込みのご依頼が多くなってきました!!

今年も年末調整や新年の確定申告準備のため、年末年始はほぼ休み無しで働かせて頂きます!!

本年も多くのお客様に支えて頂きまして、誠にありがとうございました。


さて今回は、


『被相続人が事業を行っていた場合の届出』


について下記にまとめておきますので、ご参考になさって下さい!!


お亡くなりになった被相続人の方が個人事業を行っていた場合には、青色申告の承認申請書の提出、各種消費税に関する届出書の提出、減価償却方法に関する届出など多くの手続きが必要となります。


これらの中には提出期限までに提出しないとその効力を得られないものもありますし、その提出期限が通常のケースとは違う場合もありますので注意が必要です!!


被相続人に関する手続き


被相続人が個人事業を行っていた場合には、下記の書類を所轄の税務署長に提出します。


《所得税関係》

◆「個人事業の開業・廃業等届出書」:提出期限:1か月以内


◆「所得税の青色申告の取りやめ届出書」:提出期限:翌年3月15日


◆「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」:提出期限:1か月以内


《消費税関係》

◆「個人事業者の死亡届出書」提出期限:速やかに



事業を承継する相続人に関する手続き


被相続人が生前に営んでいた事業を相続人が承継する場合にも、多くの届出・申請が必要となります。


なお、被相続人が生前提出していた「所得税の青色申告承認申請書」、「消費税課税事業者選択届出書」、「消費税簡易課税制度選択届出書」などの効力は相続人には及びません。

相続人が事業承継後もこれらの規定の適用を受けようとする場合には改めて提出する必要があります!!


《所得税関係》

◆「個人事業の開業・廃業等届出書」(相続人が相続前に個人事業を営んでいなかった場合に提出)

:提出期限:1か月以内


◆「所得税の青色申告承認申請書」

相続により事業を承継した年から青色申告をする場合には、下記の提出期限内に申請書を提出しなければなりません。

提出期限は「相続人が以前より個人事業を営んでいたがどうか」、「被相続人が青色申告していたかどうか」の区分により異なります。


提出期限:

@ 相続人が以前より事業を営んでいた場合・・・事業承継した年の3月15日

A 相続人が以前より事業を営んでいない場合

被相続人が青色申告していた場合

相続を開始した日が、

●その年の1月1日から8月31日までの場合・・・相続を開始した日から4か月以内(準確定申告の期限)

●その年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日(みなし承認既定の自動承認日)

●その年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日(みなし承認既定の自動承認日)


被相続人が青色申告していなかった場合

事業承継した年の3月15日

(その年の1月16日以後事業承継した場合には、その事業開始の日から2か月以内)


◆「青色事業専従者給与に関する届出書」

青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする場合の手続きです。提出期限について相続の場合の特例はありません。

提出期限:青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)


◆その他

「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」など


《消費税関係》

◆「消費税課税事業者届出書」:提出期限:速やかに

納税義務を判定した結果、消費税の課税事業者となる場合に付表を添付して提出します。

※納税義務の判定には被相続人分と相続人分の双方の課税売上高を考慮して行います。

添付書類:「相続・合併・分割等があったことにより課税事業者となる場合の付表」


◆「消費税課税事業者選択届出書」

納税義務を判定した結果、納税義務がない相続人が課税事業者を選択する場合に提出します。

提出期限の原則は、課税事業者を選択しようとする年の前年12月31日までですが、相続があった場合には特例があります。


提出期限の特例:事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合、又は個人事業者である相続人が相続により課税事業者を選択していた被相続人の事業を承継した場合、相続のあった年の12月31日までに提出すれば相続開始の年から課税事業者として取り扱われます。

※さらに、12月中に相続が発生した場合!!

12月中に相続が発生し、その年の12月31日までに提出できなかった場合には、やむを得ない事情があるとして「消費税課税事業者選択届出に係る特例承認申請書」を翌年2月末までに提出することで、相続により事業を承継した年から適用を受けることができます。


◆「消費税簡易課税制度選択届出書」

提出期限については「消費税課税事業者選択届出書」と同様の特例がありますが、もともと基準期間における課税売上高が1,000万円を超えている相続人が事業を承継する場合は、原則通り提出した年の翌年からの適用となります。
posted by すぎうら税理士事務所 at 00:00| Comment(0) | 税理士業務備忘録
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