2017年03月25日

本税以外の税金とは?

申告や納付を期限までに、かつ、適正に行わないと加算税・延滞税が課されます・・・
日本の国税の多くは申告納税制度を採用しており、その制度を維持するためにこうしたペナルティーが規定されています。
今回は、その種類と課税割合をまとめています。


 〜加算税〜

加算税は罰金の要素が強く、一律に課税割合が決まっている追加課税です。

  1. 無申告加算税

    申告書を申告期限までに提出しなかった場合に課される税金です。

    納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
    なお、自主的に期限後申告をした場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。

  2. 過少申告加算税

    申告期限内に提出された申告書に記載された納税額が過少であった場合に課される税金です。

    新たに納めることになった税金の10%相当額が課されます。ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。
    なお、自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。(ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期が到来するもの(平成28年分以後)については、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の割合を乗じた金額の過少申告加算税がかかります。)

  3. 不納付加算税

    源泉所得税を納付期限までに納付しなかった場合に課される税金です。

    納付すべき税額に対して10%の割合を乗じて計算した金額となります。
    ただし、税務署からの告知を受ける前に自主的に納付した場合には、5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。

    なお、納付期限から1月を経過する日までに納付し、過去一年以内において納付期限内に源泉所得税を納付している場合には、不納付加算税は課されません。

  4. 重加算税

    事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合、又は仮装に基づいて過少申告を行った場合に課される税金です。無申告加算税、過少申告加算税、不納付加算税に代わって課されます。

    過少申告加算税に代えて課す場合は、新たに納めることになった税金の35%相当額が課されます。
    不納付加算税に代えて課す場合は、納付すべき税額に対して35%の割合を乗じて計算した金額となります。
    無申告加算税に代えて課す場合は、納付すべき税額に対して40%の割合を乗じて計算した金額となります。

〜加算税 税率一覧表〜

加算税 税率一覧表 
※各種加算税が5,000円未満の場合は納付義務がありません。


 〜延滞税〜

延滞税は各種税金が期限までに納付されない場合に、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される追加課税で、いわゆる利息に相当する税金と言えます。(ただし、延納手続きなどの際に適用される「利子税」よりもやはり罰金的な意味を込めて高い割合になっています。)

次のような場合には延滞税が課されます。

  • 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき。
  • 期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき。
  • 更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき。

いずれの場合も、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた延滞税を納付しなければなりません。
なお、延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません。

〜延滞税の割合〜

延滞税の割合は下記の通りです。

  1. 法定納期限の翌日から2月を経過する日まで
    • 原則 年「7.3%」
    • 特例 平成12年1月1日以後は、制度が変更。
      現行は年「7.3%」と「特定基準割合(注)+1%」のいずれか低い割合。
      参考として、平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年2.8%となっております。
  2. 納期限の翌日から2月を経過した日以後
    • 原則 年「14.6%」
    • 特例 平成26年1月1日以後は、年「14.6%」と「特定基準割合(注)+7.3%」のいずれか低い割合。
      参考として、平成27年1月1日から平成27年12月31日までの期間は、年9.1%となっております。

(注)特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。

〜延滞税 期限内申告の場合〜

延滞税 期限内申告の場合
※延滞税が1,000円未満の場合は納付義務がありません。

〜期限内に申告を行ったが、納付期限日までに納付を行わなかった場合〜

この場合では、加算税は課税されず、延滞税のみの課税となります。

〜延滞税の計算期間の特例の適用について〜

期限内申告をした場合において、法定申告期限後1年以上経過して修正申告又は更生があったときには、法定申告期限後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日までの期間(又は、更生通知書を発した日までの期間)は、延滞税の計算期間から除外します。

延滞税 期限内申告の場合の特例の適用
延滞税 期限内申告の場合の特例の適用

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2016年05月09日

相続時精算課税贈与を選択した方の、相続税申告!!

平成15年から始まった贈与税上の大きな特例である「相続時精算課税贈与(相法21の9)」ですが、最近の相続税申告やご相談のお客様で過去にこの特例の選択をされている方がかなり増えてきたと実感しております。

そして、皆様口々に相続税の計算にこの贈与が大きく影響することをご存じじゃなかったとおっしゃりますので、改めてこの制度の概要とその相続税申告への影響についてお話をしたいと思います。


◇贈与時の概要

下記の適用要件を満たした場合の贈与については、特別控除額(2,500万円)までは贈与時の贈与税は無税となり、特別控除を超えた部分に関しては、一律20%の贈与税を支払う必要があります。

≪適用要件≫ 

○贈与者:原則として60歳以上の父母又は祖父母

○受贈者:20歳以上の推定相続人である子又は孫

○申告要件:有り(贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間)

○添付書類:戸籍謄本・戸籍の付票・相続時精算課税選択届出書など(選択初年のみでOKです。)

※注意点※

ひとたびこの制度を選択(同じ贈与者ごと)してしまうと、以後の贈与は通常の贈与税の基礎控除110万円以下の贈与であっても贈与税が課税(20%にて)されることになります。

つまり通常の贈与形式(暦年贈与)には戻れません!!

また、特別控除の適用は期限内申告が要件ですので、選択すればその後は何もしなくても(つまり申告をしなくても)合計2500万円までは課税されないということではなく、贈与があった年ごとに期限内申告をする必要があります。


◇相続時の概要

上記の贈与者がお亡くなりになった場合には、その方の相続開始時の遺産に上記の贈与財産額(贈与時の時価)を加算して相続税の計算をします。

また先に贈与時に支払った贈与税額がある場合は、相続税からその分を控除することができます。(控除しきれない場合は還付も受けることができます。)

※注意点※

上記の贈与を受けている者は、たとえ相続時の財産を受け取っていなくても相続税計算の壇上に上がることになります。

裏を返すと、相続財産を受けた相続人は他の相続人が、過去に贈与を受けていないか・相続時精算課税贈与の選択はしていないかということを知っていなくては正しい相続税計算はできないということにもなります。

また相続時精算課税贈与財産が多額であることにより、相続税の総額が大きくなり他の相続人の相続税負担も増えるということはよくあります。


〜まとめ〜

両親や祖父母の財産を生前に若い世代に渡して活用をすることを目的として制定され、実際に多くの方がこの制度を使って生前贈与を行っていますが、一部では非課税だという勘違いや間違った営業文句を鵜呑みにしている方も多く、生前の多額な贈与が相続の際の新たな火種となることもありますので、事前に税理士へ適用の有効性や危険性をしっかりと相談することをお勧めいたします。

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2015年12月29日

相続後の各種税務関係の届け出について

年の瀬になり、相続税申告や所得税申告の飛び込みのご依頼が多くなってきました!!

今年も年末調整や新年の確定申告準備のため、年末年始はほぼ休み無しで働かせて頂きます!!

本年も多くのお客様に支えて頂きまして、誠にありがとうございました。


さて今回は、


『被相続人が事業を行っていた場合の届出』


について下記にまとめておきますので、ご参考になさって下さい!!


お亡くなりになった被相続人の方が個人事業を行っていた場合には、青色申告の承認申請書の提出、各種消費税に関する届出書の提出、減価償却方法に関する届出など多くの手続きが必要となります。


これらの中には提出期限までに提出しないとその効力を得られないものもありますし、その提出期限が通常のケースとは違う場合もありますので注意が必要です!!


被相続人に関する手続き


被相続人が個人事業を行っていた場合には、下記の書類を所轄の税務署長に提出します。


《所得税関係》

◆「個人事業の開業・廃業等届出書」:提出期限:1か月以内


◆「所得税の青色申告の取りやめ届出書」:提出期限:翌年3月15日


◆「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」:提出期限:1か月以内


《消費税関係》

◆「個人事業者の死亡届出書」提出期限:速やかに



事業を承継する相続人に関する手続き


被相続人が生前に営んでいた事業を相続人が承継する場合にも、多くの届出・申請が必要となります。


なお、被相続人が生前提出していた「所得税の青色申告承認申請書」、「消費税課税事業者選択届出書」、「消費税簡易課税制度選択届出書」などの効力は相続人には及びません。

相続人が事業承継後もこれらの規定の適用を受けようとする場合には改めて提出する必要があります!!


《所得税関係》

◆「個人事業の開業・廃業等届出書」(相続人が相続前に個人事業を営んでいなかった場合に提出)

:提出期限:1か月以内


◆「所得税の青色申告承認申請書」

相続により事業を承継した年から青色申告をする場合には、下記の提出期限内に申請書を提出しなければなりません。

提出期限は「相続人が以前より個人事業を営んでいたがどうか」、「被相続人が青色申告していたかどうか」の区分により異なります。


提出期限:

@ 相続人が以前より事業を営んでいた場合・・・事業承継した年の3月15日

A 相続人が以前より事業を営んでいない場合

被相続人が青色申告していた場合

相続を開始した日が、

●その年の1月1日から8月31日までの場合・・・相続を開始した日から4か月以内(準確定申告の期限)

●その年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日(みなし承認既定の自動承認日)

●その年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日(みなし承認既定の自動承認日)


被相続人が青色申告していなかった場合

事業承継した年の3月15日

(その年の1月16日以後事業承継した場合には、その事業開始の日から2か月以内)


◆「青色事業専従者給与に関する届出書」

青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする場合の手続きです。提出期限について相続の場合の特例はありません。

提出期限:青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)


◆その他

「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」など


《消費税関係》

◆「消費税課税事業者届出書」:提出期限:速やかに

納税義務を判定した結果、消費税の課税事業者となる場合に付表を添付して提出します。

※納税義務の判定には被相続人分と相続人分の双方の課税売上高を考慮して行います。

添付書類:「相続・合併・分割等があったことにより課税事業者となる場合の付表」


◆「消費税課税事業者選択届出書」

納税義務を判定した結果、納税義務がない相続人が課税事業者を選択する場合に提出します。

提出期限の原則は、課税事業者を選択しようとする年の前年12月31日までですが、相続があった場合には特例があります。


提出期限の特例:事業を営んでいない相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合、又は個人事業者である相続人が相続により課税事業者を選択していた被相続人の事業を承継した場合、相続のあった年の12月31日までに提出すれば相続開始の年から課税事業者として取り扱われます。

※さらに、12月中に相続が発生した場合!!

12月中に相続が発生し、その年の12月31日までに提出できなかった場合には、やむを得ない事情があるとして「消費税課税事業者選択届出に係る特例承認申請書」を翌年2月末までに提出することで、相続により事業を承継した年から適用を受けることができます。


◆「消費税簡易課税制度選択届出書」

提出期限については「消費税課税事業者選択届出書」と同様の特例がありますが、もともと基準期間における課税売上高が1,000万円を超えている相続人が事業を承継する場合は、原則通り提出した年の翌年からの適用となります。
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