2015年05月08日

直系尊属からの贈与課税について 〜非課税になる場合〜 No.1

本日、仲の良い銀行マンから教育資金贈与について相談を受けたので、今回は直系尊属(祖父母や父母などのことを言います。)からの贈与に関する課税関係をまとめてみたいと思います!!
生前の相続税対策としてよく用いられる祖父母からのお孫さんへの贈与ですが、もちろん原則として贈与税(相続税)の対象となりますので、基本的な制度の概要と注意点をまとめます。ご参考になさって下さい!

@贈与税の非課税について
「扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は非課税とされています。
祖父母(直系血族ですので、扶養義務者に該当します。)からお孫さんへの生活費や教育費は非課税となりますが、これには注意が必要です。
⇒と言うのもこの制度の対象となるのは「必要な都度」「直接」生活費や教育費に充てられた場合のみに適用されますので、数年分を一括という場合とかもらったお金を預貯金や他の用途に使用した場合には課税されます!!
⇒あとは必要と認められる範囲かどうか、扶養義務者との関係や資力なども考慮されます。

A暦年課税について
一般的な贈与税の計算方法で、受贈者(お孫さん)ごとに暦年(1/1〜12/31)中に贈与を受けた金額の合計額から基礎控除(110万円)を差し引いて贈与税を計算(累進課税)します。
⇒よく「年110万円までは非課税だから」と言われる贈与はこのパターンです!!
⇒しかし、初めからまとまった金額を贈与するつもりだった場合3年以内に贈与者(祖父母や両親)が亡くなって相続を受ける場合には、注意が必要です!!

B相続時精算課税について
上記Aの暦年課税の特例として、贈与者と受贈者のセットごとにこの制度による贈与税の計算を選択(税務署への届出が必要です!)することが出来ます!
この制度を選択すると上記Aの計算とは別計算となり、特別控除(2,500万円)までは贈与税は課税されません。(特別控除を超えた金額については、20%の贈与税が掛かります。)
⇒ただし、この制度は贈与税は課税されませんが、名前の通りその贈与額が相続税の対象となります!!

生前贈与はもっとも効果的な相続税対策でもあり、可愛がっているお孫さんへ財産を残す手段として多く用いられますが、上記のように注意が必要ですのでぜひ税理士へお気軽にご相談ください!!
まずは無料相談や相続税試算からご検討ください!!

次回は、◎住宅資金贈与◎教育資金贈与◎結婚子育て資金贈与という非課税の特例について記載します!!

アスクル相続試算チラシ.png
アスクル相続試算チラシ.pdf
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2015年04月15日

遺産分割協議者や契約書への押印

ありがたいことに新たにお仕事を頂くお客様が数名いらっしゃいますので、契約書を作成しています!

そこで、たまにお客様から質問を受ける「契印」「割印」「捨印」「消印」について少し解説!!
契約書や遺産分割協議書の作成などの際には、それらの書類の中でさまざまな箇所に押印をしますが、それらの意味と効果を簡単に説明します!!
◆契印・・・複数枚からなる一つの書類がひとつながりであることを確認するために押印するもの

◆割印・・・異なる2つの書類について、相互に関連があることを確認するために、2つの書類にまたがって押印するもの

◆捨印・・・文書の中で記載ミスや誤字脱字があった場合の訂正には通常は訂正印を訂正箇所ごとに押印しますが、その訂正印をまとめて代用するのが捨印です
※捨印は相続人が複数いらっしゃる場合や遠方にいらっしゃる場合などには非常に便利であり、私が分割協議書を作成する際もお客様にご説明の上お願いすることが多いのですが、便利なものにはリスクもあるということをよくよく理解をしておいて頂きたいと思います!!
実は捨印によって訂正できる範囲に制限は無く、極端な話では分割内容を変えてしまうことも可能です・・・
ですから捨印の押印は慎重に信頼関係を確認してから行って下さい!

◆消印・・・印紙の再使用を防止することを目的として押印するもの
※ 印紙税の課税対象となる文書に印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならないことになっています(法第8条第2項)
ちなみに印紙の消し方は、作成者等の印章又は署名で行うことになっていますが、作成者の一人のみのものでも、当該文書に使用したもの以外でも良いことになっています

押印のイメージを絵にするとこんな感じです!!
遺産分割協議書・契約書の押印
posted by すぎうら税理士事務所 at 12:18| Comment(0) | 税理士業務備忘録

2015年02月21日

財産及び債務の明細書と国外財産調書

個人所得税・贈与税・消費税の確定申告の真っ只中で、お陰様で忙しくさせて頂いてます!!

この時期に多い相談の一つに確定申告書と一緒に提出を求められる『財産及び債務の明細書』があります。
同明細書は、年間所得が2千万円を超えるとその年の12月31日現在所有している財産や債務について、その種類や金額を記入し、確定申告書に添付して提出する必要があります。

土地建物や現金、預貯金、有価証券はもちろん、1点(1組)10万円以上の書画・骨董・美術工芸品、貴金属類、自動車、家具といった動産、借入金や支払手形に至るまで細かく記入しなければなりません。
税務署にとっては、税務調査をしなくても高所得の方からの自己申告によって財産情報を得ることを法律で定め、将来の譲渡所得課税や贈与税・相続税課税などの参考にするためのものと言えます。

同明細書は所得税法232条に規定されたれっきとした法定文書ですが、実は提出をしなくてもペナルティは定められていません。 ペナルティがないとは言いつつも、もちろん法定文書ですから提出しないと、税務署から電話が来たり、督促ハガキが来たり、調査対象にまでなるケースもありますので、対象者となった場合にはきちんと提出しましょう。

同じように高所得者や資産家の方に提出が求められる書類に、平成24年度税制改正で導入が決まり、平成25年度から提出が義務付られた『国外財産調書』というものがあります。
毎年、年末に国外財産が5千万円超の資産家の方(日本居住者)が提出しなくてはなりません。

具体的には、国外財産の種類・価額等を記載し、確定申告書の提出の有無に関わらず翌年3月15日までに所轄税務署長に提出しなければなりません。
ペナルティの無い財産債務明細とは違い、同調書は、不提出や期限後提出した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が平成26年度分提出より適用されるため注意が必要です。
さらに所得税・相続税の申告漏れが後日税務調査等により発覚した場合、同調書に記載がある部分については、過小申告加算税・無申告加算税を5%軽減するアメを用意する一方で、同調書の無提出・記載不備に係る部分については逆に過小申告加算税・無申告加算税を5%加重するというムチまで設けています。

この制度の背景には、日本から国外へ資産の流出が増えているものの、国外資産からの所得課税や国外財産の相続税の申告漏れが多発していると実情があります。
ちなみに円換算は12月末日の為替レートで換算するため、昨今の円安により基準を超え対象となる方が増加しておりますので、国外財産をお持ちの方はご注意下さい。
(平成25年4月1日以後の相続・贈与については、海外移住者への国外財産への課税もはじまってますので、こちらもご注意ください。)

今後も資産家・高所得者への課税は厳しくなるばかりだと言えますので、皆さまも早めに相続税の試算をし、財産管理や運用をして大切な財産をご家族に残せるようにして頂きたいと存じます。
何かお困りの際には、ぜひご相談ください!!
posted by すぎうら税理士事務所 at 18:18| Comment(0) | 税理士業務備忘録